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OW-8282 Picnic Table Set

外壁材から
大ヒット商品


テーブルとスツールが一体になったオールインワンセットは、かつて1,980円もしないプラスティック製が主流だった。それをアルミで作ったところ、価格はゆうに7〜8倍。発売前は、誰が買うのかと笑われたのだが…。

 

軽さと堅牢性、相反する条件にチャレンジ
 もともとOnwayのラインナップには、アルミ製のスツールがあった。その上部にテーブルを組み合わせてはどうだろう? という提案が持ち上がり、試作が始まったのだ。

「下から上へ」の発想
 2000年のその当時、スツールを組み合わせたオールインワンのテーブルセットは、すでに数多く出回っていた。が、それらは1,980円を切るような価格のプラスティック製。体重のある人が座ると壊れる怖れがあった上に、小ぶりな作りのため、大柄な人だとテーブルとの間に腿が入らない場合すらある。人がそこに体を預けるものである限り、危険がないことは何より重要だ。私たちは、それ自体がひとつの椅子として成り立つアルミスツールをベースにして、もっと安全で良いものを開発しようということになった。こうした製品の場合、上から下へと発想する人も多いが、私たちは「下から上へ」、しっかりとしたベースの上に何ができるかを考えることにしたのだ。

アルミ複合材の活用
 その頃、偶然にある建材展示会で、建築の外壁材として展示されているアルミの複合材に出会った。2層のアルミシートの間に樹脂をはさみ込んだ3層構造の板で、ちょっと目には1枚のアルミシートに見える。これをテーブルの天板にしてはどうだろう? 建材メーカーに尋ねると、「テーブルの天板に使うんですか?」と、販売員がけげんな顔で再三確認する。しかし私たちは、この丈夫でかつ高級感と清潔感のある新素材のまったく新しい使い方に、あえて挑戦することにした。

ギリギリまで軽量化する
 スツール4脚とテーブルをひとつにするとなると、やはり最大の難関は重量である。最初の試作品は20キロ以上にもなり、とても持ち歩ける重さではなかった。とはいえ、収納ケースを兼ねる天板は、4脚のスツールを入れて運べるだけの強度は必要だし、アルミ複合板を固定する天板周囲のアルミフレームも欠かすわけなはいかない。それでもどこかで重量を削るしかないのだ。
 そのため、すべての部材を100分の1ミリ単位で徐々に削るという、気の遠くなるような作業が続いた。スツールを2脚1組に固定する鉄枠も、補強筋を入れて細く薄くした。また、2本1組で天板を支えるアルミパイプも、最初は椅子と同様の「目」型パイプを考えたが重すぎたため、厚みを削る代わりに内部に軽く柔らかい松の木材を入れるという工夫を凝らした。さらに天板のアルミ複合シートも4ミリ厚から3ミリに変更した。
 最終的に、スツール座面が4人掛けて耐荷重400キロ、天板は耐荷重20キロとなり、かつ総重量が11キロ強のオールインワンセットが完成した。10キロ以上の減量に成功したのだ。

ジンクスを打ち破る
 軽量化には成功したものの、高額のレジャー商品が果たして人々に受け入れられるかどうか、不安はあった。完成品を提案したところ、得意先の営業マンたちに笑われてしまった。「販売価格が1万5,000円もするアルミの塊を誰が買うんですか」と。
 ところが、店頭に並べた翌日すぐに5台売れたという連絡が入ると、営業マンたちの反応も一転。その後2年間にわたり、ヒット商品となった。良いものだからこそ、消費者は認めてくれたのだ。
 そして、何よりも大きいのは、「アウトドア業界で高額商品は売れない」というジンクスを打ち破ったことだ。アウトドアの世界に旋風を巻き起こしたこのピクニックテーブルセットは、その後10年間も売れ続けた。