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OW-72 Slim Chair

 

収束タイプの収納性と前後タイプの座り心地を一脚に統合する


バブルがはじけて、消費者は贅沢な生活から自分のサイズに合った生活に戻った。
車は低燃費・小型車志向が進み、アウトドアスタイルはよりコンパクト化が求められている。
 
ということは、道具もますますダウンサイジングしなければならない。
とはいえ、大きな折りたたみ椅子から従来の窮屈な中央収束型椅子に切り替えるのはなかなか受け入れ難いことだ。なぜなら、従来の収束型椅子というのは収束携帯機能ばかりが優先され、座り心地が犠牲になることが多かったからだ。

この問題を解決すべく市場のニーズに応えたのがこのOW-72スリムチェアだ。
前後折りたたみ型の座り心地のよさと、中央収束型の携帯の便利さを一つの椅子に統合することに徹底的にこだわった。

ONWAYには木製から改良した収束型のアルミ版椅子があったのだが、
その座面生地は、縫製の技法で座面と背もたれが分かれるようにして一枚のシートで出来ているため、ある程度良好な座り心地が得られる。
しかし一方、座る人の体重によってはフレームに被せる部分から座面生地が破れやすい。布だけで全体重を支えるには無理があった。

よってフレームの改造がONWAYの重要課題だった。
側面のフレーム上部竪パイプを半分に切って横に倒して座面をつくり、前足パイプを後足との連結パイプを肘掛けにする案が社内から上がった。
これは、座る人が重心移動をしても肘掛に手をのせられ、楽な姿勢が得られる仕組みだ。
さらに人間工学に基づいて設計した曲線の肘掛を後足部フレームと繋ぎ、動作中に前足部がスライドできるように自在に連動する仕組みができた。
 
フレームの改造にあわせて座面シートも改良。座る人の体格と関係なく、体全体を包むような設計で格別の座り心地が得られた。
これで携帯便利な中央収束型と前後折りたたみの機能をうまく組み合わせた最高の座り心地の椅子が誕生したというわけだ。
 
その努力が評価され、2003年に申請した特許と意匠とも相次ぎ取得し、2004年にはグッドデザイン賞も獲得した。
 
2005年ドイツの展示会でも欧米から多くの注文が入った。
その以来、肘掛付き中央収束型椅子の代表作として、世界中に認められている。
模倣品や改造品が後を絶たないが、いま現在、原作を超えるものは出ていないと言われている。